■予防 生活習慣病の予防と再発を防ぐ2次予防が重要
「狭心症や心筋梗塞を起こす人の7~8割は高血圧です。5割は糖尿病や脂質異常症、慢性腎臓病の人などによる動脈硬化が原因ですので、それらの病気にならないように気をつけるか、すでに病気を持っている人は、管理して狭心症や心筋梗塞へ進行するのを防ぐことがとても大切です」
帝京大学病院循環器内科教授の上妻謙医師はそう説明します。
家族性高コレステロール血症という遺伝的な病気を持つ人は、とくに1次予防が重要です。この病気の人は放っておくと平均寿命よりも余命が十数年短いといわれています。
狭心症や心筋梗塞を発症したことがある人は、2次予防が重要です。再発しないように、主治医、近隣のかかりつけ医などとともに管理していく必要があります。血液検査のみならず、常に血管の状態を調べることも大切です。
そして、心臓病のみならず、脳、腎臓、肝臓など他臓器の病気にも気を配るべきです。脳血管のアテローム血栓症を合併する人が2~3割に及ぶといいます。
「禁煙はもっとも重要で、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病につながる食生活や生活習慣は改善し、動脈硬化を止めなければなりません。アルコールは直接の因果関係はありませんが、摂取過多は中性脂肪を高くしますので注意が必要です」(上妻医師)
■内科治療 薬物療法とカテーテル治療 緊急時はカテーテルで血流確保
狭心症・心筋梗塞の内科治療は薬物療法、カテーテル治療があります。薬物療法は血液が固まって血栓ができるのを防ぐ抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)や、冠動脈を拡張させる血管拡張薬である、カルシウム拮抗薬や硝酸薬、交感神経を抑えて血圧を低くし、脈拍を減らして心臓の負担を軽くするβ遮断薬、動脈硬化の進展を防止する脂質異常症治療薬などを2~3種類併せて服用します。
「最近では、悪玉コレステロールを6割ほど低下させるPCSK9阻害薬が登場しました。狭心症や心筋梗塞を若いうちから発症しやすい家族性高コレステロール血症の方や、スタチン薬でコレステロール値が十分に下がらない方に使っています」(上妻医師)