狭心症が進み、冠動脈が完全に詰まった状態が「心筋梗塞」です。一番危険なのは、根元である左主幹部が詰まった状態です。

 急性の発作を起こし、発症から40分ほど経つと、心臓の筋肉の壊死(えし)が始まります。6時間から24時間経過すると、壊死が心臓の内側から外側の膜まで及んでしまい、心臓自体の損傷が大きくなります。救急搬送などにより、一刻も早く治療を受けないと命に関わります。

 急性心筋梗塞の死亡者数は心臓病のなかで一番多く、年間3万7222人が亡くなっています(平成27年人口動態統計 厚生労働省)。

 心筋梗塞は、命を取り留めても、心機能が低下し、再発も多く、他臓器へ支障をきたすこともあり、注意が必要です。

■症状 胸痛や息苦しさ、締め付け感 無症状の場合も

 狭心症の症状は、胸痛や息苦しさ、締め付け感などです。肩や左腕、のどや歯に痛みが出ることもあります。胸の痛みが出るのは、狭くなった血管を無理やり血液が通ろうとしているためです。

 また、冠動脈以外の血管の詰まりにより起こる、下肢の痛みやED(勃起不全)などによって病気が発見されることもあります。

 完全に詰まる心筋梗塞は、さらに強烈な痛みが出ますが、その後、心筋が徐々に死んでしまうと、線維組織に置き換わってしまい、痛みを感じなくなります。この状態になると、心臓の機能が衰えた心不全の状態に陥ります。

「近年では、高齢者で糖尿病を患っている人は、末梢神経障害の一種で、胸痛が起こらずに、むくみや息切れで病気が発見された時にはすでに心不全になっていることもありますので注意が必要です」

 そう話すのは、東京慈恵会医科大学病院心臓外科教授の橋本和弘医師です。

 通常、症状を訴えて来院した患者に対しては、問診の後、ベルトコンベヤーの上を歩いて運動状況を評価する運動負荷心電図(トレッドミル検査)、心臓超音波検査(心エコー)などをおこないますが、緊急の場合は、冠動脈造影CTやカテーテル検査により、速やかに判断されます。

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突然死は予防できる!