うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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言葉というのは複雑なもので、同じことを伝えようとしても、言い方によって受け取る側の印象は全く違ってきます。友人がアクセサリーをくれるというとき、「微妙で捨てようと思ったけどもし使うならあげる」と正直に言われるより、嘘でも「貴方に似合いそうだからよかったらあげる」と言われた方が、よっぽど気分がいいし嬉しいですよね。まさに、ものは言いよう。
大人も、子どもに対してうまい言葉の使い方をすれば、子どもも随分と変わっていくように思います。周囲のお母さんたちの声を聞いていると、「○○してはいけない」「○○しなさい」といった命令調の言い方を頻繁に耳にするように思えます。
「公共の場で大声を出してはいけない」「廊下を走ってはいけない」等々。確かに、周囲に迷惑になるとき、子ども自身がけがをしそうで危ないときは、「やっちゃダメっ!」と大声を出したくなります(というか出しています)。ただやはり、あまりに「やってはいけない」ことばかりでは、子どもの世界はどんどん縛りつけられて、狭く窮屈になってしまいます。
私が通っていた高校は、校則が非常に厳しくて、ひどく堅苦しいところでした。「ひざ掛けをしてはいけない」というような、なんのためにこんな規則があるの?と疑問に思うモノも。そこで、「この校則はなんのためにあるのか?」と先生に聞いたことがあるのですが、大体が「昔から決まっているから」の一点張り。そんな、生徒を無意味に縛りつけるような校則はなくせばいいと言っても、「社会に出たらもっと不条理なことはたくさんある。学校はその予行演習みたいなものなの」という、論点のズレた答えが返ってきました。
人間には、心理的リアクタンスという、自分の行動は自分で決めたいという心理が備わっています。小さな子は特に本能の赴くままに行動しがちなので、やってはいけないと言われれば言われるほど、やりたくなる気持ちは強くなるでしょう。それを「子どもだから」という理不尽な理由で抑えつけられるのは大きなストレスです。私も自分の中で納得のいかない校則は守らないこともあり、しょっちゅう先生に呼び出されて怒られていました。