それだけ怒られておきながらもはっきり言いますが、「理由・目的がわからない」規則をかたくなに守らせることは、単に思考を放棄させることであり、頭の固い人間をつくり出す行為だと思っています。今後はセンター試験も柔軟性を試す方向に向かっていくそうですし、やはり子どもには自分の頭で考えて状況に適応できる人間になってほしいです。 先日、友人と子ども数人で科学館に遊びに行ったのですが、ある小学1年生の男の子で、ひたすら真面目に規則を守る子がいました。誰もいない遊び場の周囲をうろうろして、「僕もここで遊びたい」と何度も言うのですが、そこには「小学生以上のお子様は入らないでください」との看板が。子どもが多い場所には、小さい子どもが大きい子にぶつかると危ないため、年齢を分けて小さい子どもだけのコーナーが作られていることがあるんです。しかし、今は誰一人遊んでいないわけで……。

 私が「なんで遊んじゃいけないと思う?」と聞くと、その子は「そう書いてあるから」と答えました。小さいうちは、なぜそういう規則があるのかと考えさせるより、単純に「してはいけないことはしてはいけない」と教えてしまうことが多いです。男の子なんて特に訳のわからない危険な行動を突然やりだすので、気持ちはとてつもなくよくわかります。私が「今なら入っても大丈夫だよ」と言うと、なんと「悪いことすると警察がくるから」と返され、可愛くて思わず笑ってしまいました(うちの息子も悪いことをするとマツコ・デラックスがくると言って脅かしています)。どうしようかなと悩んだ末、スタッフさんに「誰もいない間は遊んでもいいですよね?」と聞きました。OKをもらうと、男の子はやっと安心して嬉しそうにわっと遊びだしました。彼の返答から、その家のしつけ方がみえてきて面白かったです。
 
 ただ、入っては「いけない」は、入ることが「できない」と同じです。小さいころから「してはいけない」、つまり「できない」ことが多ければ多いほど、意欲や好奇心を育む機会が失われて、諦める癖がついていきます。たくさんの「できない」という否定に囲まれていると、徐々に偏った固定観念が形成されて、大人になってから、考える前に「僕にはできない」「無理だよ」と捉え、諦める癖がついてしまいます。私の学校の校則で先生が言った通り、自然と社会の不条理を受け入れてしまうのです。

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