次から次へと出てくる著名人の不倫報道と謝罪会見。「ここ数年をみても、不倫は確実に増えている」と言うのは、東京・渋谷にカウンセリングルームを構え、数多くのカップルから相談を受けてきた臨床心理士でカウンセラーの西澤寿樹さん。ただ、どんなに神妙な顔で平身低頭、反省しても不倫は再発するのだとか……。なぜなのか。
* * *
私が面白いと思う本に『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)があります。刑務所の受刑者の更正プログラムに関わってこられた著者が、犯罪者に「反省」させることは意味がないどころか、逆効果で再犯率を高めてしまっている、ということを論じたものです。
実は、夫婦関係にも全く同じことが当てはまるのです。
例えば、夫が浮気をしたとします。日本では不倫は犯罪行為ではありませんが、妻にしてみれば青天の霹靂、大ショックです。やりどころがない気持ちで、妻は夫を責めます。
そこから先はいろいろなパターンがあります。夫が「反省」するタイプだとすると、殊勝な態度で「反省している」「もうしない」などと言います。大ショックを受けたのに、それで、「そっか、反省してくれているならもう安心、すっきりした」と思う人は、少数派です。
多くの妻はそれでも気持ちが収まらないので、毎晩のように夫を責めるのですが、いくら責めても、「反省している」「もうしない」「自分は変わる」「これからの自分を見て欲しい」などと言う話が繰り返されます。毎晩、毎晩、深夜まで話しても結局らちが明かないので、何か月かすると、妻は納得しないものの「もう責めていても仕方ない」と、どうにか自分お気持ちを抑えて、元通りの生活にもどっていきます
それで、めでたし、めでたし、となればいいのですが、不思議なことに多くの場合、浮気が再発するのです。
2度目の裏切りに、妻は奈落の底に突き落とされます。
最初に反省した夫はまた「反省」します。夫は、「2度も君を傷つけてしまって本当に反省している。こんどこそ、心を入れ替えるから」と平謝りに謝ります。そんな話で、「そっか、今度こそ心を入れ替えてくれるんだ、ありがとう!」なんて思うお人好しはまずいません。