■「我慢」プラス「忘れる対処」で、ますます疲れがたまる
我慢が苦しくなると、多くの人は次に「忘れてしまう」という手段をとります。そもそもの感情や出来事をなかったことにしてしまえば、我慢の必要もなくなり、かなり穏やかに過ごせるようになるからです。
これは、期間限定のトラブルに対しては優れたスキルだといえるでしょう。忘れているうちに、原因となった問題が解決したり、終了したり、風化してしまうからです。
けれども、人間関係のトラブルは危険性が継続する場合が多いもの。忘れているつもりでも、意識のバックヤード(無意識)で、常に警戒の感情が発生しています。そして、トラブルがあった人に対して、知らないうちに「恨み」の記憶が育ってしまうのです。
このように、「我慢」と「忘れる」対処だけでは、人間関係は疲れる一方になります。でも、我慢せずに嫌な上司を怒鳴りつけることもできないし、そんなことをしても、人間関係の問題がさらに大きくなるだけです。
ポイントは、「嫌だな」と思った自分の感情を無視してフタをしないで、まずは、しっかりとその感情を受け止めて、認めることです。自分で自分の感情を否定したり、無視しないこと。いつも「我慢」しがちな人は、このことからはじめてみてください。(構成/ライター・向山奈央子)