少し考えれば簡単に思いつくことのような気がする。列車が増えれば、このアイデアはすぐに破綻する。はじめはモスクワという街の威厳を高めることだけが目的だったのかもしれないが。
そういえば以前、シベリアで、「5822」という駅を見た。調べるとモスクワからの距離だった。駅名を考えるのに疲れたのか、近くに駅名になる村もなかったのか。しかしそれにしても安易な駅名である。
やはりロシア人は愛すべき民族である。
今回はモスクワからベラルーシを通過してポーランドのワルシャワに向かった。モスクワからの列車はベラルースキー駅を発車した。こういうときだけはわかりやすい。
下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など