激闘を終えて互いに健闘を称えあうマリー(左)と錦織圭(右)(写真:Getty Images)
激闘を終えて互いに健闘を称えあうマリー(左)と錦織圭(右)(写真:Getty Images)
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「やっぱり大事なポイントで、自分のミスなり、球が浅くなったり……。特にブレークポイントを取りきれなかった」

 3時間20分の死闘を終えた錦織圭は、失意の色を隠せぬ様子ながらも、技と体力と頭脳のせめぎ合いの末に、勝者と敗者を分けたものを明言した。

 ATPツアーファイナルズのグループリーグ第2戦。世界ランク1位のアンディ・マリーに挑んだ錦織は、7-6、4-6、4-6で僅かに勝利に手が届かなかった。

「第1セットや第2セットの多くの場面で、ケイはラリーの主導権を握っていた」

 マリーは試合の様相を端的にそう言い表した。

「彼(錦織)は、ボールをあらゆるコートに打ち分けるのが本当に上手い。恐らくは、他のどの選手よりもね」

 マリーが劣勢を覚えたその攻撃は、錦織の成長と自信の表れでもあった。

「昔はもうちょっと焦って打っていたけど、今年は自分のテニスもしっかりしてきた。無理をしなくても左右に(ボールを)振っていれば、浅いボールが来る」

 豊富な球種とコースの打ち分けでラリーの主導権を握り、焦ることなく確実に決められるであろうチャンスを待ち、そしてその機が訪れれば、トリガーを引くように強打を放ちウイナーを奪う――それが錦織の狙いであり、実際に試合の多くの局面で打ち合いを支配した。11本のラリー交換の末にマリーのエラーを誘った第1セットのセットポイントなどは、錦織のプラン遂行を象徴する場面である。

 しかし同時に、マリーすらも疲弊させた数多くの打ち合いは、勝敗を分けた要因と表裏でもあった。

 「第1セット途中で会場内の巨大スクリーンに映し出された数字を見たら、自分は相手のサーブを96%の確率で返していることが分かった。つまりはそれだけ、短い打ち合いで終わるポイントが無かったということだ」(マリー)

 そのスタッツを踏まえた上で、マリーは「サーブで簡単に取れるポイントが幾つかあった分だけ、自分はラッキーだった」と言った。この試合でマリーが決めたサービスエースは8本で、一方の錦織はゼロ。また錦織は試合を通じ11度のブレークポイントを手にしたが、その多くの場面でエース級のサーブを打たれ、2本しかブレークにつなげられなかった。対するマリーは7本のブレークポイントをつかみ、4つのゲームをブレークしている。

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