ミュージシャン、ラジオパーソナリティー、写真家、俳優……。多彩な顔をもつ福山雅治が、新作映画でまた新しい表情を見せる。『アエラスタイルマガジン 32号』(朝日新聞出版)で、映画についての思いを語った。その一部を紹介する。
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有名人の私生活や裏側を写真に収め、商売にするカメラマン、パパラッチ。デビューから26年、これまでさまざまな役柄を演じてきた福山雅治が、新作映画『SCOOP!』では、普段は自身と敵対する役に挑んだ。「日本一撮られない男」と称されるアーティストは、しかし、パパラッチ役を引き受けることに躊躇(ちゅうちょ)はなかったという。
「これまでも、写真週刊誌等の仕事をしている方々に対して、『そんな仕事してどうするの?』とは思ってはこなかったです。『週刊文春』『フライデー』『フラッシュ』はいまも毎週買っています。だからといって芸能スキャンダルについて周りと話すこともありませんが。ただ、いまも雑誌を買っている読者なわけですから、そういう自分がいくら撮られる側だからといって、『俺のことは撮らないでくれ!』というのはおかしな話で。でも、この役をやったことで逆に記者の方々を煽ることになっちゃって、『絶対に福山を撮ってやる!』となることは勘弁してもらいたいです(笑)」
実際、福山自身、恋愛問題をはじめこれまで週刊誌には幾度となく狙われ、書き立てられてきた。事実と異なることも決して少なくなかった。
「本当はそうじゃない、事実はこうなんだ!と否定コメントを出す必要はないかなと思って、これまでずっとコメントせずにいました。きっと言いだしたらキリがないですよね。ただその部分では、ラジオ番組という発言の場があってよかったと思ってます。無茶苦茶なことを書かれたとしても、ラジオ番組のなかで、『ハゲ疑惑、根強いですよねぇ。あ、いま、目の前の原稿に抜け落ちた髪の毛が数本!?(笑)』みたいなジョークとして笑い話にしちゃえば、自分的にもファンの方々にとってもガス抜きができるところもあると思うので。
それに、僕らの仕事はもともとメディアと共存せざるを得ないというか、共に発展してきた業種ですから。僕らだって、こうやって宣伝のときにはメディアを使うわけですよね。最終的に、なるべく誰かを傷つけないように、いかにそれを面白がったり、自分たちのメリットにできるか?ということをクリエイティブしていくことが僕らの仕事にとって大切なんじゃないかと」
今回の映画の舞台となるのは、写真週刊誌の編集部だ。福山はそこに出入りする伝説のフリーカメラマン役を演じる。二階堂ふみ演じる新人編集者とともに、次々とスキャンダルを暴き、部数を伸ばしていくというストーリーだ。
福山がそこで感じたことのひとつは、「やはり、出すからには売らなきゃいけない」ということだった。
「僕も自分の仕事で数字というのは大事だと思ってやってきました。もちろんうまくいかなかったことも多々有ります。でも数字は、みんなが喜べるひとつの指標になると思うので。自分がいいと思ったものをどう宣伝して、いかに多くの人に興味を持ってもらうか。そして、自分が好きだなと思うことを続けていくためには、数字を追求していくということはどの世界も一緒ですよね」
(文・一志治夫)
※アエラスタイルマガジン32号より抜粋