前回大会唯一の金メダリスト松本。彼女を筆頭に、全員が金メダルを期待されるなかでリオ五輪に臨む。(c)朝日新聞社
前回大会唯一の金メダリスト松本。彼女を筆頭に、全員が金メダルを期待されるなかでリオ五輪に臨む。(c)朝日新聞社
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■日本柔道に課せられた「金メダル」というミッション

 オリンピックで日本の金メダルが期待される競技の筆頭に挙げられる柔道。2012年のロンドンでは、史上最低の金メダル1つに終わったとはいえ、すべての大会で日本に金メダルをもたらし続けている唯一の競技である。銀メダルを獲った選手がインタビューで「すみませんでした」と語り、悔しさを露わにする日本柔道は、やはり特別だ。

 そのミッションである「金メダル」を目指す柔道日本代表(JOCが派遣を承認するまでは正式には「日本代表内定選手」だが、ここではそう記す)について、まず女子の7名が出そろった。

■日本柔道ナショナルチームの「戦い方」

 オリンピック本番での戦いを占う前に、日本柔道がこの4年間どのように世界と戦ってきたのかを紹介したい。日本柔道が「世界一」を目指すことは今も昔も変わらないが、2009年以降、この競技に大きな変化が起きた。国際柔道連盟がワールドツアーとランキング制度を導入したのだ。テニスのようにワールドツアーに参加し、その成績で世界ランキングが変動。オリンピックへの出場権をその年の5月末の時点のランキング上位者に与えるというものだ。

 北京大会までは谷亮子や野村忠宏のように休養期間を置いて、オリンピックイヤーに照準を合わせて代表となるような選手や、北朝鮮などから出場する未知の強豪選手もいたが、ツアーとランキング制度の導入により、ツアーに出場し続けなければ上位に入ることはできず、当然、オリンピックに出場することは難しくなった。

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