「いまは、プロの第一線でやっていける身体をつくれるかどうかしか考えてない。これ以上もう身体を鍛えることができない、これじゃあプロのレベルとして戦っていけないとなったら、自分でわかると思う。そのときは、もうしようがないでしょ」

 カズが目指すのは、あくまでも第一線で戦えるプロフェッショナルだ。ただ顔見せでピッチに立つことなど、プライドが許さない。

「練習を半分にして、じゃあ、先発ではなくて後半の20分からだけ出られるようにしましょう、ということでチームがいいと言うなら、契約してくれるなら、もしかしたら、あと5、6年はできるかもしれない。でも、僕は先発で出られる身体をつくるためにトレーニングをしている。つまり90分間フルに出場したいということです。妥協して、20分でいいというのは、自分の流儀じゃない。少なくともいまはそういう考えはまったくないですね」

 そんな強い気持ちがあるから、カズは、グアムの自主トレも2回に増やしたのだ。

 カズのグアム合宿には、トレーナー、フィジカルコーチ、料理人、用具メーカーの担当者らが帯同する。その渡航費用等はカズが自己負担してきた。ばかにならない金額だが、そんな投資をしてでも、サッカーを一瞬でも長く続けたいという思いが勝る。

 グアム合宿の朝は、いつも闇の中で始まる。

 5時過ぎに起床したカズは、ホテルの自室で、ストレッチや体幹トレーニングなどを45分ほど行い、身体をまず目覚めさせる。その後、GPSのついた運動計測時計「ガーミン」を装着し、グラウンドに出て、ランニングを二十数分とダッシュなどをこなす。

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