2016年、日本サッカー界を代表する孤高のレジェンド、三浦知良が、プロ契約30年という節目を迎えた。ブラジル時代、Jリーグ発足時から日本代表での栄光と挫折、欧州リーグへの挑戦、逆境からの再起、そしてこれから──。『アエラスタイルマガジン 30号』(朝日新聞出版)であますところなく語ったカズのサッカー人生。その一部を紹介する。
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カズは、この2月で49歳になった。ブラジルでのプロ入りからまる30年が過ぎ、今シーズンはプロ31年目ということになる。もちろん世界中を探しても、30年の長きにわたってピッチに立ちつづけているプロ選手は見当たらない。
カズのシーズンは、毎年1月のグアムでの自主トレで幕を開ける。10日から14日間の自主トレをこの十数年、自身に課してきた。
通常、Jリーグは11月末に最終戦が行われ3月に開幕する(今年は2月27日)。つまり、12月から2月いっぱいがオフシーズンということになる。もっとも、開幕の1カ月半から2カ月前には各チームとも練習をスタートさせるから、1年のうち、休みといえるのは実質1カ月ほどである。
だが、カズは、この休みを削って自主トレに充てているのだ。しかも、これまでは1月の合宿だけだったのに、一昨年からは、12月にも10日間のグアム合宿を組みはじめた。
裏を返せば、49歳の選手がサッカーというハードなスポーツを続けていくことがいかに困難になってきているか、ということでもある。自身のコンディションに神経質なまで聞き耳を立てて調整していかなければ、もはやピッチに立つことは難しくなっているのである。40代に突入してからは特にその傾向が顕著で、この数年はさらに厳しい状況を迎えているのが見て取れる。
それでもカズは高みを見ている。