佐藤亮子さん(撮影/藤岡みきこ)
佐藤亮子さん(撮影/藤岡みきこ)
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「子どもに医学部に行ってほしい」と願う親は少なくない。しかし、医学部人気で入試は年々難化している。医学部に受かる子どもを育てるにはどうすればいいのか――。『医学部がわかる』(AERAムック)では、3兄弟を東京大学理科III類(東大理III)合格に導いた佐藤亮子さんにインタビュー。自らの子育てを振り返り、アドバイスしてもらった。

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 息子3人が灘高校(神戸市)から東大理IIIに合格しましたが、「医学部に入るため」の特別なことはしていないし、「医学部に入って」と言ったことは、一度もありません。

 長男を授かったとき、能力を最大限に伸ばして、本人が希望する道へ進めるようにしてあげたいな、と思いました。子どもたちの未来を開くのは、基本的には教育しかありませんから、1歳ごろから大学受験まで、ずっと勉強のサポートをしてきました。東大理III合格は、その延長にすぎないのです。

 大学受験は鉛筆と消しゴムだけで子ども自身が挑み、点数だけで合否が決まります。ある種、美しい世界です。

 いま振り返ってみると、塾と中学・高校の選択が、医学部合格につながったと思います。

 灘高は、東大と医学部に強い高校で、医学部を志望する同級生が多かった。東大理IIIをはじめ、医学部に合格する先輩の姿を間近で見られ、校内にロールモデルがたくさんいます。息子たちも自然と東大理IIIを目指すようになりました。灘中に入学したことが、進路に大きな影響を与えたのです。

 灘中に合格できたのは、中学受験塾・浜学園が、灘中の合格者数日本一だったから。

 奈良の自宅から神戸市の灘中・高までは、電車を乗り継いで片道1時間40分もかかるので、当初は灘の受験を考えていませんでした。でも、成績上位の生徒がみんな目指している学校とはどんなところなのか、体育祭を見に行ったら、ガリ勉のイメージとはほど遠い爽やかな学校で、ここなら安心して息子を通わせられると思いました。

 浜学園を選んだのは、テキストがよかったから。特に算数は、設問からレイアウトまで考え抜かれていて、知的好奇心を刺激するもので、息子たちは「算数、面白い」と、塾の授業を楽しみにしていました。

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