左から、ステンレスの両手鍋(柳宗理のパスタ鍋)、オレンジの鍋は鋳鉄ホーロー鍋(ル・クルーゼ、22センチ)、中が黒い鍋2点は、アルミにフッ素加工を施したティファールの取っ手が取れる鍋(左20センチ、右16センチ)、ステンレスの圧力鍋(ティファール)
左から、ステンレスの両手鍋(柳宗理のパスタ鍋)、オレンジの鍋は鋳鉄ホーロー鍋(ル・クルーゼ、22センチ)、中が黒い鍋2点は、アルミにフッ素加工を施したティファールの取っ手が取れる鍋(左20センチ、右16センチ)、ステンレスの圧力鍋(ティファール)
サーモスのシャトルシェフ。加熱した調理鍋を保温容器に入れておくと余熱で調理が進む
サーモスのシャトルシェフ。加熱した調理鍋を保温容器に入れておくと余熱で調理が進む

 キッチンで毎日何気なく使っている鍋。大きさや素材、種類によってさまざまものがある。スーパーなどの店頭では、非常に多くの種類が販売されているが、実際何がどう違うかはイマイチよくわからないという人も少なくない。

 じつは素材や種類によって、それぞれに長所短所、向いている料理や不向きな使い方などがあるのだ。高価な鋳鉄ホーロー鍋は煮込み料理には適しているが、それで味噌汁を作ったところでおいしくなるわけでもない。その鍋の持つ特徴にあった使い方をしてこそ、はじめてその鍋の実力を生かせる。ここでは家庭で使う鍋の種類を整理して、どんな鍋がどのように使えるのかを紹介しよう。

 まず鍋の種類だが、ふつうの鍋には持ち手の種類によって片手鍋と両手鍋がある。片手鍋は小型で軽量なものが使いやすく、ちょっとした汁物を作るときなどに使いやすい鍋。後者は大きくて煮込み料理などに使いやすいタイプのもの。それぞれサイズや深さなどにバリエーションがある。

 サイズは16センチくらいからだいたい2センチ刻みで28センチくらいまでのサイズがある。必ずしも大は小を兼ねるわけでなく、適正なサイズを使い分けたい。たとえば魚を丸ごと煮込むなら、ある程度の大きさが必要だが、煮卵のように素材全体を煮汁に浸す料理では、大きな鍋はたくさんの煮汁が必要になり調味料に無駄が出る。たとえば2~4人くらいの家族で使うなら、16センチ、20センチ、24センチくらいの3サイズがあればいいだろう。

 次に素材だ。多くの鍋に使われているアルミニウムは、熱伝導率が高いので火の通りが早く、軽くて使いやすい。片手の雪平鍋などは代表的なアイテムだ。酸やアルカリに弱いので、食材を長く漬け込んだりするのには向かない。またIHにも対応していない(底部にIH対応の金属を使った板を張り付けて対応させている鍋はある)。ティファールの取っ手のとれる鍋など、アルミニウムにフッ素樹脂コーティングした鍋も多い。火の通りが早くお湯もすぐにわくので、出汁をとったり、手軽にみそ汁などを作るにはこのアルミ鍋が向いている。

 ステンレスはさびにくく、焦げ付きにも強いので手入れが容易で、比較的長く使い続けられる素材だ。IHにも使える。ただし熱伝導率が悪いので、アルミなどを挟み込むなどの多層構造になっているものが多く、重くなりやすいのが難。フィスラーやビタクラフト、クリステルといったブランドが人気だ。フタをぴったりできる構造のものは、素材の水分だけで調理できる無水調理にも対応する。オールマイティに使いやすい素材だが、炒め物などでは、十分に加熱してから油を入れて材料を入れないと、食材が鍋にくっついてしまうことがある。

次のページ