ほかに鋼をステンレスで挟み込んだ、いいとこどりの複合材を使用した包丁や、セラミック製の包丁もある。セラミックは非常に硬い材質なので、切れ味は長持ちするが、切れなくなってきたときに研ぐのが難しく、硬いゆえに欠けやすいという面もあるので要注意だ。
良い包丁を買うときには産地を目安にするのもいいだろう。日本で有名な刃物の産地は、燕・三条(新潟県)、武生(福井県)、関(岐阜県)、堺(大阪府)、土佐山田(高知県)の5箇所。海外でも有名なグローバルの包丁は、新潟県燕市の吉田金属工業によるもの。関は「関の孫六」という日本刀などで知られ、ドイツの世界的なブランド、ツヴィリングも関に工場を持ち高級ラインナップを製造しているほどだ。堺はプロの料理人が使う和包丁では90%のシェアを持つといわれる。
包丁を長持ちさせるためには、手入れも重要だ。基本的には使ったらすぐに洗って拭くが原則。ステンレスでも使ったまま放置すると錆びることもある。また食器洗い乾燥機の使用は、対応製品とうたわれているもの以外はほとんど不可だ。これは柄の部分が傷む、高温洗浄によって錆や劣化を招くなどの弊害がある。グローバルの包丁のようなオールステンレスのものでも推奨されていない。
どんな包丁でも使っているうちに切れ味が悪くなってくる。刃の手入れは砥石で行うのが理想的だが、家庭では難易度が高い。刃を入れてこするだけの簡易シャープナーでも一時的には切れ味は回復するので、ふだんはこれをこまめに使って、年に何度か、お店に出して研いでもらうという方法もアリだ。ツヴィリングやグローバルなど、自社の製品の研ぎ直しを行っているメーカーもある。刃が欠けたり、木製の柄がとれたりした包丁でも修理がきくことが多い。
よい包丁は、メンテナンスさえきちんとすれば、長く使える。毎日使うものだけに、気持ちよく使える包丁をぜひ選んで欲しい。
(ライター・栗山琢宏)