大阪─名古屋間を約2時間。同じ大阪─名古屋間を走る東海道新幹線が最短で約47分なので、速さでは新幹線には到底かなわないが、近鉄は、

「名阪特急の魅力を向上し、収益力やブランド力を高めたい」

 と自信を見せる。

 なぜ今、新型車両なのか。松本さんは、人口減などで鉄道利用者が確実に減っていく中での増収の工夫の一つだと見る。

「日本も貧富の二極化が進み、グリーン以上のサービスを求める動きもある。提供する側も、悪く言えば、取れるところからしっかりいただく。今春登場する『サフィール踊り子』や『ひのとり』などはそうした流れの中で生まれたように思います」

 JR西日本は、総額60億円をかけ、関空特急「はるか」の新型車両「271系」を18両製造した。ダイヤ改定後はこれを従来の6両編成に3両ずつ連結し、全列車を9両編成にして運用する。新型車両の運転開始により、座席数は約1.5倍に増える見込みだ。

 はるかは、京都・滋賀方面と関西空港を結ぶ特急。1日60本走っていたが、平日6本、土休日3本は9両編成で、それ以外は6両編成での運転だった。

 京都・大阪と南紀方面を結ぶ特急「くろしお」では、パンダ顔のラッピングで大人気の「パンダくろしお『Smile アドベンチャートレイン』」を、不定期運行から上下計4便の定時運行に変える。

 これまでは日ごとに区間や運転計画が違ったため、乗車日の前日以前に確実に乗車券を手に入れられるのは特定の日の臨時列車か貸し切りの専用列車に限られていた。それが、運用が固定化されることで通年「パンダくろしお」を利用した旅行を計画できるようになり、集客効果は高まりそうだ。

 くろしおでは、これまで一部を停車させていなかった日根野駅(大阪府泉佐野市)に、全ての列車を停車させる。大阪府を南北に貫く中核路線である阪和線との乗り換え利便性を図る。JR西はこう言う。

「和歌山・南紀方面への利便性の向上はもちろんのこと、さらなるご利用を促進したいと考えています」

(編集部・野村昌二)

AERA 2020年3月16日号より抜粋

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