キラキラと輝く外観に豪華で快適な座席を備えた新型車両。今年は各社から、鉄道ファンならずとも注目の「キラキラ車両」が続々登場する。AERA 2020年3月16日号では、そんな今年のダイヤ改定を取材した。
【写真特集】豪華で快適な座席の様子や「パンダくろしお」など(計9枚)
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冬空の下、メタリック塗装の車体がキラリと青く輝く。
「車体の塗色はびっくりしました。天候や日照によって全く別の色調になりますし、特に『伊豆アズール』と呼ばれる青い基調色は、晴れている時に順光側から見ると露草色と言ってもいいほど明るい。顔つきはガンダムのようなロボットを思わせます」
鉄道ジャーナリストの松本典久さん(64)が熱く語るのは、JR東日本の新型特急列車の「サフィール踊り子」だ。
3月のダイヤ改定に合わせ、8両編成で定員164人。東京・新宿─伊豆急下田(静岡県下田市)にデビューする。パノラマ車窓が人気の「スーパービュー踊り子」の後継車両で、30年ぶりの新型となる。最大のセールスポイントは豪華な車内だ。
「移りゆく車窓を眺めながら優雅な時間をお過ごしいただけるようにしています」(JR東)
1号車はJR東では初めてのプレミアムグリーン、2~3号車はグリーン個室、5~8号車はグリーン車。松本さんは言う。
「一番気に入ったのは通常のグリーン車。ダウンライトが利き上質で明るい雰囲気。天井脇にある天窓が開放感の演出に役立っていると思います」
3月14日、今年も「ダイヤ改定」の日がくる。今回のダイヤ改定の特徴を、松本さんはこう述べる。
「JRグループのダイヤ改定に合わせ、大手私鉄などでも新たなサービス体制へと調整が施され、より快適で便利な鉄道交通体系へと進化している」
冒頭で紹介したサフィール踊り子の他にも、今年は鉄道業界の“華”ともいえる新型車両が続々と登場する。
「ひのとり」もその一つ。近畿日本鉄道の名阪特急(大阪難波─近鉄名古屋)として、華々しくデビューする。
名阪特急はバブル期の1990年度をピークに利用者が3割減。そこで近鉄は2013年12月、社内にプロジェクトチームを立ち上げ、184億円を投じて11編成計72両の「ひのとり」を製造した。メタリックレッドの外観は、まさに「火の鳥」。車体には、鳳凰を連想するシンボルマークも描かれている。