大学合格発表から約3カ月。晴れて大学生となった学生たちはキャンパスライフを満喫していることだろう。複数の大学に合格した学生も多いが、彼らは最終的にどの大学を自身の進学先に選んだのか。この進学者数を考察すると、思わぬことが影響していることがわかった。

 今回お届けするのは、各高校ごとに、実際にどの大学に何人が進学したのかという実数だ。対象とした高校は、過去に東大、京大などに合格者を出したことがある全国トップ2165高校。各高校に、卒業生(浪人生含む)が実際にどの大学に何人進学したのかを聞いた。

 今年の進学者数のひとつの大きな特徴は、関東圏の有名高校で京大への進学者を増やしているところが多いということだ。

 麻布高(東京都港区)は、昨年現役進学者が2人だったのが8人。浪人生を含めると20人が京大へ進学。海城高(新宿区)は2人から5人(浪人含め12人)。渋谷教育学園幕張高(千葉市)は昨年ゼロだったのが4人(浪人含め5人)と、昨年より京大への進学者数を増やした学校が目立つのだ。

 京大への現役の進学者が昨年ゼロから一気に8人へと増えた都立国立高(国立市)は「非常に京大への志向が強い学年でしたね。面談などで東大を薦め、京大から東大へ志望を変更した生徒もいるので、自然に任せればもっと多かったかもしれません」(進路指導部)という。

 大学受験動向に詳しい大学通信ゼネラルマネージャーの安田賢治さんは、

「受験生が進学先を絞ってくる昨年の今ごろは、東日本大震災の余震が続き、計画停電があったり、原発の影響があったりと、関東地方は落ち着かない空気だった。首都圏の受験生に西へ向かう志向があったのではないでしょうか」

 とみる。

※週刊朝日 2012年6月29日号