本多一夫(ほんだ・かずお)/1934年、北海道生まれ。新東宝第4期ニューフェースとして俳優デビュー。実業家に転身後、80年に俳優養成所を設立。その後、次々と小劇場をオープン。現在、下北沢にある8軒の劇場のオーナー。これまで「第19回日本文化デザイン賞」「世田谷区文化芸術功労賞」(ともに97年)、「第3回渡辺晋賞」(2008年)など数多くの賞を受賞。06年に平均年齢(当時)77歳の劇団「パラダイス一座」を旗揚げするなど、俳優としても活躍中。 (撮影/写真部・小黒冴夏)
本多一夫(ほんだ・かずお)/1934年、北海道生まれ。新東宝第4期ニューフェースとして俳優デビュー。実業家に転身後、80年に俳優養成所を設立。その後、次々と小劇場をオープン。現在、下北沢にある8軒の劇場のオーナー。これまで「第19回日本文化デザイン賞」「世田谷区文化芸術功労賞」(ともに97年)、「第3回渡辺晋賞」(2008年)など数多くの賞を受賞。06年に平均年齢(当時)77歳の劇団「パラダイス一座」を旗揚げするなど、俳優としても活躍中。 (撮影/写真部・小黒冴夏)
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本多一夫さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・小黒冴夏)
本多一夫さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・小黒冴夏)

“演劇の街”として知られる東京・下北沢を代表する本多劇場。この劇場をつくり上げ、下北沢を演劇の街にした立役者・本多一夫さんが、作家・林真理子さんとの対談にご登場です。現在までには、平坦ではない道のりがありました。対談の日も、新型コロナウイルスで各地の劇場が公演ストップに追い込まれている最中で──。

*  *  *

林:今、コロナウイルスの感染拡大防止で、劇場も大変みたいですね。

本多:うちは民間だからね。お役人さんのコヤ(劇場)とは違うんで、休業ってわけにはいかないです。劇団に貸してるから、劇団が「休む」と言えばわからないけど、「休む」と言う劇団はないですね。

林:劇場ってすごく経費がかかるんでしょう?

本多:儲かってる劇場ってあんまり聞いたことないですね。三軒茶屋に二つ同じようなコヤがあって……。

林:世田谷パブリックシアターと、シアタートラムですね。

本多:あそこは、区が年間で13億円の助成をしてるんですよ。うちはもらうんじゃなくて、税金を払ってるからね。もらってるのと払ってるのとではぜんぜん違う(笑)。公のコヤは建築費の借金はないけど、こっちは劇場をつくったときの借金がある。欧米の劇場は税制面での優遇があるけど、日本はないし、だから劇場をつくる人なんかいないですよ。

林:いま、本多さんの劇場は八つですか?

本多:はい。八つ(本多劇場、ザ・スズナリ、駅前劇場、OFF・OFFシアター、「劇」小劇場、小劇場「楽園」、シアター711、小劇場「B1」)です。また2軒くらい出そうかと思ってるんです。

林:ほぉ~。八つの劇場を個人で持ってるって、世界でも類を見ないそうで、しかも、ご自分の名前を冠した劇場って、日本では本多劇場だけなんじゃありません?

本多:PARCO劇場とか紀伊國屋ホールとかあるけどね。自分を売り込むみたいでイヤなんだけど、「個性的でいい」と言う人もいるしね。

林:いろんな劇団から「本多劇場でやりたい」と言ってくるわけでしょう。選ぶのは社長ですか。

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