2月14日のバレンタインデーを前に、ふと考える。チョコレートってどうやって作られているの……? カカオ豆ときび砂糖だけ、というシンプルな材料にこだわる「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前」の工房を覗いた。
* * *
【1】豆を選別する ドミニカ共和国など6カ国の豆がずらり!
生豆を保管する「ビーンルーム」は、酢のようなツンとした匂いが漂う。正体は、発酵臭。カカオは収穫後すぐ木箱に入れられ、果実の糖分と酵母菌の作用で発酵させる。このプロセスが、チョコレート特有の風味を生む。小石やコインなどの異物はもちろん、焼きムラを防ぐためにサイズや形に難のある豆を手作業で取り除く。
【2】豆を焙煎する 直火ではなく熱風で、じっくりと
コーヒー豆用の焙煎機を、低温[110~135度]で長時間[30分前後]加熱できるよう改造。生豆の刺激臭は芳醇な香りに昇華し、浅煎りはフルーティー、深煎りはナッティーな風味に仕上がる。ローストした豆を砕き、皮を除いたものが「カカオニブ」。カリカリ食感で、香ばしいアロマがガツンと鼻腔を直撃する。
【3】豆と砂糖を混ぜ合わせ、挽く 味の決め手は「シュガータイム」
花崗岩のローラーが回る「メランジャー」でカカオニブときび砂糖を三日三晩挽くと、豆の50%を占める油分がにじみ出し、約20ミクロンの粒子でできた濃厚な液体になる。そのなめらかな口どけはまさにシルク。砂糖は、豆の香りを閉じ込めたければ早めに、苦みや薬草のようなえぐみを飛ばしたければ遅めに入れて、理想の味わいを目指す。
【4】温度を調整し、成型する 豆の種類や気温に応じた適温を見極める
「31.7度」など小数点単位で加熱と冷却を行う。この「テンパリング」という工程により、豆の脂肪分「カカオバター」の結晶が安定化すると、溶けにくく、パリッとした食感や艶のあるチョコレートに仕上がる。テンパリング後は型に流し、振動を加えて空気を抜く。スタッフは振動音で耳を傷めぬよう、ヘッドホンを装着。