広島で活躍した緒方孝市もベストナインに縁がなかった選手 (c)朝日新聞社
広島で活躍した緒方孝市もベストナインに縁がなかった選手 (c)朝日新聞社
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 プロ野球でそのシーズンの最も優れていたと思われる選手を選出するベストナイン。1リーグ時代の1940年から始まり、第一回のベストナインには川上哲治(巨人)、中島治康(巨人)、苅田久徳(翼軍)など伝説の名選手が受賞している。しかし数々の好成績を残しながら、ベストナインに縁のなかった名選手も少なくない。今回はそんなベストナインを受賞することのなかった選手の中からベストナインを選んでみた。また対象は既に引退した選手とし、所属はその選手の全盛期の球団としている。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 まず、セ・リーグは以下の9人を選出した。

【セ・リーグ】
投手:小山正明(阪神
捕手:中村武志(中日
一塁:松原誠(大洋)
二塁:仁志敏久(巨人)
三塁:田代富雄(大洋)
遊撃:梵英心(広島)
外野:佐野仙好(阪神)
外野:金城龍彦(横浜)
外野:緒方孝市(広島)

 投手は歴代3位の320勝を誇る小山正明。阪神時代には4度の20勝をマークし、チームがリーグ優勝を果たした1962年には完投(26)、完封(13)、勝率(.711)、奪三振(270)でリーグトップの数字を記録し、沢村賞にも輝いている。しかしこの年は同僚である村山実が23勝を挙げ、防御率では小山の1.66を上回る1.20という驚異的な数字をマークしたこともあり、小山はベストナインを逃している。東京オリオンズに移籍した1年目も30勝をマークして最多勝に輝いたが、ベストナインは優勝した南海で26勝のスタンカが受賞している。

 捕手は中日で長く正捕手を務めた中村を選んだ。盗塁阻止率4割以上を5度、5割以上を2度マークした強肩と通算1380安打、137本塁打の強打を誇りながらベストナイン、ゴールデングラブ賞のいずれも受賞歴がない。理由は中村の台頭した時期がベストナインに9度選出された古田敦也(ヤクルト)の全盛期と重なっていたことにある。またチームが優勝した年と中村自身の全盛期が重ならなかったのも不運だった。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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