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「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」
発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第15回の質問は「なんで勉強してもお金をもらえないの?」です。
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【Q】子どもは勉強することが仕事だと言われますが、なんで勉強してもお金をもらえないのですか?
【A】お金を払うべき人が「将来のあなた」だからです
私は中学生のころ、縁あって玩具店で店番として働きました。私が店番をしている間、店主は店番以外の業務をこなすことができ、店番という仕事に意義があると実感できました。それに、店番を終えると感謝され、なんと店主はお小遣いもくれました。「とてもありがたいことだ」と私は思いました。
社会の協力の多くは「お金」で成り立っています。あなたが誰かのために働けば、その人からお金がもらえ、もらったお金で商品を買えば、その商品を作った人にお金がわたります。商品を作った人は「商品を買ったあなた」のために働いたことになり、「あなたからお金がもらえた」という関係になります。これが回りまわって「人々の協力のネットワーク」が“お金によって”できるのです。
では、勉強が仕事だとすると、誰のために勉強するのでしょうか。勉強して知識や技能を身につければ、将来高度な仕事ができます。店番をして少額の小遣いをかせぐのではなく、性能のよい商品やサービスを開発して多額のお金をかせぐことも可能になるでしょう。このように、あなたが勉強をしたことによって利益を得るのは、「将来のあなた」や「将来のあなたの周りの人々」です。
今あなたが勉強することで「将来のあなた」が利益を得るならば、勉強を仕事と言ってもいいのかもしれません。ところが、「将来のあなた」があなたに向けてお金を支払うことができないのです。これが、勉強が仕事のように見えて、仕事にはなっていない理由す。で