男性が言うとおり、教育現場では警戒が続いている。全国で唯一、感染確認者数が0人(5月28日時点)の岩手県でも同様だ。盛岡市教育委員会の担当者は「生徒たちにマスクを着用させるよう各校に通知しています。年単位でお願いすることになりそうです」と話す。
では接客業の客室乗務員はどうか。大手航空会社に勤める女性は、「国内だけでなく、世界的に終息するまで、マスクは外せないのではないか」と考えている。
「国際線も担当しているので、外国人のお客様も接客します。海外にも頻繁に行くことになるので、新型コロナウイルスが世界的に終息するまでマスクを着けることになるのではないでしょうか。一方で、欧米ではいまだにマスク=感染者という考えが残っているようです。特にアジア人は差別されることもあるので、現地のホテルから出たらマスクを外すかもしれません。そうやってマスクの着脱をしばらく繰り返すことになるでしょうね」
ここまで話を聞いていると、マスクの外し時については、「周囲の反応を気にしている」という印象だ。妻に意見を求めると、「ずっと着けていればいいんじゃない?」と投げやりな答えが返ってきた。
では、外し時を「コロナが終息したとき」として考えたらどうか。
「医師のとも」が、「新型コロナウイルスの国内での終息はいつごろになると思うか」と医師1346人に行ったアンケートによると、「2021年7月以降」と答えたのが33.5%と最多だった。「21年4~6月」は14.9%、「21年1~3月」は7.1%だった。年内では終息しないと考えている医師は半数以上(55.5%)にのぼる。
マスク生活が年単位に及ぶのは必至か。マスク生活が長期化すれば、マスクを外せなくなる「マスク依存」の人も増えるだろう。依存症などに詳しい、新潟青陵大学大学院の碓井真史教授に話を聞いてみる。
「確かに、マスク着用を『面倒くさい』と思う人がいる一方で、今回のコロナ禍をきっかけに『マスクの楽さ』を覚えてしまう人もいるかもしれません。顔を半分隠せるマスクは、コミュニケーションが苦手な人にとっては安心感をもたらすアイテムでもあります。しかし、それに慣れてしまうと、コロナ後の生活でしんどい思いをする。今回のマスク生活を『心地よい』と感じている人は要注意です」