午後6時過ぎ、仕事が一段落した記者(26)は運動着に着替えた。在宅勤務による運動不足を解消するため、4月からジョギングを始めたのだ。後には子どもを風呂に入れるという仕事が待っている。妻にせかされ、そそくさと家を出る。
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外はまだ明るい。走り始めると、何人かの歩行者とすれ違った。遠くには同じくジョギングをしている人の姿も見える。仕事から解放された余韻に浸りながら体を動かす。だが、なにか違和感を覚える。そしてふと気がついた。
「そうだ、マスクを忘れた」
300メートルほど走っただろうか。すぐに家へと引き返す。固く結んだ靴ひもをほどくのをためらい、玄関先で妻(26)を呼ぶと、マスクを手渡してくれた。
新型コロナウイルスの感染拡大により、外出時のマスク着用が 実質“義務化”された。だが、マスクは正直苦手である。長時間着けていると耳が痛くなるし、ひどいときには頭痛に襲われることもある。ジョギング中のマスクも息苦しくてしょうがない。だが、不特定多数の人に取材する職業柄、勤務中を含め、しばらくはマスクを着けざるをえないだろう。
ところでこの“マスク生活”、いつまで続ければいいのだろうか。言うなれば、“マスクの外し時”っていつなのだろう。
その答えは、仕事や立場によって変わってくるかもしれない。例えば、「三密」がそろってしまう学校ではどうか。神奈川県内の小学校の男性教師はこうため息を漏らす。
「教師はもちろんマスク必須です。学校内で感染が広まったとき、マスクをしていない教師がいたなんてことになれば、保護者から何を言われるかわからない。コロナ禍以前は教師数人で近くのファミレスで食事することもあったのですが、最近校長から禁止令が出されました。プライベートで保護者と鉢合わせることもありますから、私生活でもマスクは外せない。年内はこのような態勢が続くのではないでしょうか。少なくとも教育現場が先駆けてマスクを外すなんてことは絶対にないでしょうね」