「安全対策に600万円は必要です。サーモグラフィーの設置、消毒液の手配、選手たちの移動をどうするべきかなど、課題はまだまだたくさんあります」

 試合は無観客で行い、インターネットで配信する計画だ。試合中の飛沫(ひまつ)拡散を防ぐため、フェンシングマスクの内側に付ける飛沫ガードを全選手に配り、試合後の選手同士の握手を禁止するなど感染予防に力を入れる。

 こうした有志による大会開催について、スポーツライターの折山淑美さんはこう話す。

「本来であれば、協会が高体連(全国高等学校体育連盟)と協力してやるべきもの。ただ、予算の問題もあるのでしょう。高体連が要請する各都道府県レベルの代替大会ではなく、全国大会をやりたいとなると、すぐには動けない事情もあると思います」

 他では、アーチェリーでも同様の動きが見られ、先には選抜高校野球選手権の代替として交流試合の開催も決定した。

「希望をなくしてしまった高校生に達成感を与えることにこそ、意味があります。この動きが刺激となって、他競技でも声を上げる人が出てくることを期待したいです」(折山さん)

 全国の多くの高校3年生に希望の灯をともす動きが広がることを願うばかりだ。(本誌・秦 正理)

*週刊朝日オンライン限定記事

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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