「駅近など一部の有利な物件を除けば、必ずしも地方でなくても、湯沢町のように不動産を売るに売れない状況に陥る恐れがあるのです」(長嶋さん)

 不動産を持て余した人も、悲観する状況ばかりではない。住宅ジャーナリストの榊淳司氏によると、最近は「安くてもいいから売りたい」「タダでも手放したい」というオーナー向けのサービスが続々と登場している。

 その一つが、「空き家ゲートウェイ」。100円か100万円かの「100均(ひゃっきん)」で売り手と買い手を結びつけるサイトだ。サイトをのぞくと、

<展望の屋上付!自宅でビアガーデン気分堪能>(愛媛県宇和島市の鉄骨造り4階建て・築37年の100円物件)

<大人の冬の秘密基地にいかが?>(福島県猪苗代町の鉄筋コンクリート造り・築50年の100万円物件)

 など、全国の物件がポップなタイトルとともに紹介されている。気になる物件を見つけたら、購入のためのエントリーをし、入札期間終了後にオーナーが買い手を選ぶ仕組みだ。その後、売り手と買い手が直接やりとりし、条件が合えば100円か100万円で買うことができる。直接やりとりするから、仲介料は発生しない一方、購入後には登記や固定資産税、リフォームなどの費用が別途かかる。

 このサイトを共同運営するのは、オーナーから空き家を一定期間借りて改修・転貸しをする事業を手がけるあきやカンパニー(東京都渋谷区)と、世界中の小さな家を紹介するメディアの運営や遊休地の活用法などを企画・開発するYADOKARI(横浜市)の2社。あきやカンパニーの担当者はこう語る。

「売りたい、買いたいという声が全国から寄せられています。自社の事業を通じても空き家に関する相談は増えていることからも、空き家ゲートウェイの利用者は今後、伸びていく可能性が高いと考えています」

 こうしたサイトはほかにも、空き家・空き地のマッチングサイト「みんなの0円物件」や、売り手と買い手が直接書き込める掲示板サイト「家いちば」、自治体が運営する「空き家バンク」などがある。

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