「気に入った家電をその場で購入して形から入る中丸さん、プライベートで極力家事をしないと決めているカズさん、家事はやっているけど面倒くさいが先行するバカリさん。同じ初心者でも、興味の持ち方や楽しみ方は全然違うんです」

 放送が始まった2018年は「ワンオペ育児・家事」が問題になっていたとき。「家事ヤロウ!!!」でも、独身の3人が結婚したときのために家事をできるようにしよう、というコンセプトを掲げていた。だが、それはなくなった。米川さんは言う。

「家事は誰もがやらなければいけないことで、それをどうさばくかはその人次第。立場や性別は関係ないと考えました」

 昨年末、バカリズムさんの結婚を機に「独身男」を「初心者」に変更。こうした小さなアップデートの積み重ねも時代の流れと合致した。新型コロナウイルスによるステイホームも相まって、放送とリアルタイムで更新している番組公式インスタグラムのフォロワー数は98.8万人を突破した(7月25日現在)。

 番組では、これまでに300以上の家事テクニックを紹介してきた。だが、その家事を生活に取り入れようと提案したことはないという。なぜか。

「どれだけ簡単な内容でも、そもそも家事は面倒なもの。無理に頑張る必要はありません。でも、『家事ヤロウ!!!』で自分に合うものが一つか二つ見つかって、生活がちょっとだけ変わればうれしいです」(米川さん)

 一方、世間ではSNSで「ポテサラ論争」が話題になった。総菜コーナーで子連れの女性がポテトサラダを手にしたところ、近くにいた高齢の男性が「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言ったという投稿に、「料理の大変さを軽視している」など議論が巻き起こった。背景にあるのは、日本に根強い「手間をかけた家事信仰」。

 そんな風潮をものともせず、嫌なものは嫌だときっぱり言い切り、家事を面白がる3人の姿が、大きな支持を集めている。(編集部・福井しほ)

※AERA 2020年7月27日号

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