家事初心者の男性3人が家事に取り組む異色のテレビ番組が人気だ。そのテクを紹介する公式インスタグラムのフォロワーは100万人にせまり、テレビ番組が運用するアカウントの中で最も多い。
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インスタには番組で紹介した料理や掃除などの家事テクニックが並び、出演するタレントらのオフショットがあるわけでもない。それなのに、なぜ支持を集めるのか。制作に込められた狙いが生み出す新潮流とは。同番組のチーフディレクターとプロデューサーに聞いた。
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「三種の神器」と呼ばれた冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビが登場してはや70年。この間、床に置くだけで勝手に掃除をしてくれるロボット掃除機「ルンバ」や材料を放り込むだけで調理してくれる「ホットクック」など様々な家電が誕生した。一汁一菜や断捨離テクと組み合わせれば、家事はラクになっているはずなのに、やっぱり面倒くさい!
そんななか、家事をテーマにした番組が注目を集めている。テレビ朝日系列で放送中のバラエティー「家事ヤロウ」だ。
「これまで家事に向き合ってこなかった家事初心者が家事をゼロから学ぶ」をコンセプトに、“家事初心者”のバカリズムさん、カズレーザーさん、中丸雄一さんの3人がぶつくさ言いながらも料理や掃除などに取り組む姿が共感を呼んでいる。
根っこには出演者のこんな本音があった。チーフディレクターの黒柳貴仁(たかと)さん(32)は言う。
「番組を作る前の打ち合わせでバカリさんが『知らないだけなのに最初から怒られるのは絶対嫌だ!』とおっしゃって、それをヒントに専門家を入れないことにしたんです」
初回のロケ時はうまく進まなかったときのために掃除のプロを呼んでいたが、手を借りることはなかった。こうして、レシピや家事テクが書かれた番組特製ハンドブックを3人が読み進めながら家事に挑戦する型が生まれた。このハンドブックで紹介する家事には共通点がある。
「一般的な料理のレシピには、当然のように泡だて器や耐熱容器といった調理器具が出てきます。でも、家事初心者の家にはそんなものありません。そもそも台所の容器が耐熱かどうかもわからなかったりする。なので、別のもので代用して、実際にやってみたくなるかどうかを意識しています」(黒柳さん)
MC3人の家事レベルに合わせて進行するため、自然とハードルは下がる。家事の捉え方も三者三様。プロデューサーの米川宝さん(33)はこう分析する。