阪神の新助っ人ボーア (c)朝日新聞社
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 今シーズンから阪神でプレーする新助っ人のボーア。メジャー通算92本塁打を放った大砲は「バースの再来」として期待されたものの、開幕から18打席無安打と大きく躓いた。どうなることかとファンを心配させたが、その後は徐々に調子を取り戻し、7月31日時点で打率.265、7本塁打(チーム2位)、19打点(チーム3位)と打線をけん引している。

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 ボーアの売りは何といってもパワーを生かしたバッティングで、今後もホームランという形でチームに貢献して欲しいと願う浪速のファンは多いはずだ。

 だが、彼の魅力は打つだけではない。それは風貌からも分かるように守備力でも走力でもないが、打力以外でファンの心を掴んでいる理由が、とにかく「一生懸命」プレーするからだ。そして、その全力プレーには“笑いの神”が降りてくるというのも特徴である。

 既にその片鱗はシーズン前にも見せていたが、7月14日のヤクルト戦(甲子園)でより明確となった。

 この試合の7回2死、打者サンズが放ったライトへのフライはアウトになると思われたが、甲子園特有の浜風に流されてポテンヒットに。一塁走者のボーアはこれを見て、全力疾走でホームに突入かという勢いで三塁を回ったものの、本塁への返球を見て、三塁へ慌てて帰塁。本来ならここで終わるプレーであるが、ボーアがランナーの時は“笑いの神”が高確率で降りてくる。

 なんと本塁への返球を捕手がトンネル、そしてその後ろでカバーしていた投手までもがまさかの捕球ミスを犯したのだ。しかし、ヘッドスライディングで三塁へ帰塁したボーアは、腹ばいの状態でボールの行方を全く確認せず。慌てるヤクルトの選手たちを尻目に、三塁ベースに手を伸ばしたボーアは「助かった~」と言わんばかりの安堵の表情。それを引き気味に見る三塁手・村上宗隆の反応もより一層ファンの笑いを誘った。普通なら「ちゃんとやれや!」と虎党の怒りを買ってしまいそうな場面であるが、必死にプレーするボーアは、なぜか許されてしまうところがある。

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米国時代も数々の珍プレー