このように誰からも愛される存在であるボーアについては、2015年から3シーズンともに戦ったイチローも“いじる対象”として認識していたのだろう。2016年にメジャー3000本安打を達成した時の会見では、「(3000安打を達成する前の第3打席目までは)自分の体がジャスティン・ボーアのような重さだった」と発言。その後も「3000本安打を達成したことを祝福してくれた中で最も大物(The biggest celebrity)だったのは?」という問いには即答で「ジャスティン・ボーアだと思います」と答え、報道陣の笑いを誘った。公的な場ではシリアスな表情を見せる時が多いイチローだが、ボーアの名前を出すときは必ずと言っていいほどジョークを絡ませていたのが印象に残る。

 もちろん、イチローとボーアはただのいじり、いじられる関係だけではない。ボーアは度々イチローへのリスペクトの思いを語っており、2017年シーズンのオフには来日し、イチローのオリックス時代の本拠地(ほっともっとフィールド神戸)で、ともに打撃練習に励んだことを自身のツイッターで報告している。今年から来日することを決めたのもイチローの存在があったからこそなのかもしれない。
 
 アメリカから来る助っ人は、日本の野球を下に見る傾向があるのは事実で、これまでも、日本人選手と打ち解けず、グラウンドでも気の抜けたプレーする選手は少なくなかった。だが、ボーアはメジャーでも実績があるにも関わらず、そんな姿はみじんも見せていない。今年は新型コロナウイルスの影響で暗いニュースが増えているが、ボーアにはパワー溢れる打撃と、そのキャラクターで日本に明るい話題を提供し続けて欲しい。

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