もちろん、“持っている”ボーアはメジャー時代にも珍プレーを連発している。
エンゼルスに所属していた昨シーズンには、これまた走塁で笑いを生み出した。4月13日のカブス戦の初回、ライト線へのヒットを放ったボーアは果敢に二塁を狙うも、先ほどのプレー同様に間に合わないと判断し突然の帰塁。するとボーアを仕留めようとしたライトからの送球が、先に一塁へ戻ったボーアの足に直撃。ボールが一塁側のベンチの方へと転がり、これに気づいたボーアはすかさず二塁へ向った。
だが、捕手もこれをカバーしており、進塁を試みたボーアをアウトにしようとセカンドへ送球。微妙なタイミングとなったが審判は「セーフ」と判定した。ところが……これを勝手にアウトだと勘違いしたボーアは、ベンチへ「のそのそ」と歩き帰ろうとするのだ。もちろん結果的にタッチアウトとなってしまうのだが、途中で気づいたボーアの表情や振舞いがなんとも間抜けで、米国でも変なプレーとして話題となった。
この他にも、走者一塁の場面で内野フライを打ち上げた瞬間にベンチに帰ってしまったことを突かれ、ダブルプレーになってしまったり、鮮やかなスライディングで本塁に生還したかと思いきや、ベースを踏み忘れたりと凡ミスが多い。一方でタッチを絶妙にかいくぐる好走塁もマーリンズ時代に見せており、この時にはドン・マッティングリー監督から「(球場のスクリーンに、米国の名馬ジャスティファイが映し出されたのを引き合いに)馬が画面から飛び出してきたようだった」とお褒めの言葉ももらっている。
必死のプレーは日本同様に米国でも好感を持たれ、かつ微笑ましいものと見られているのは間違いない。マーリンズ時代にボーアがキャリア310試合目にして初盗塁を決めたシーンでは解説と実況が思わず笑ってしまったかと思えば、初の三塁打を放ったシーンではチームメートがベンチを飛び出して大喜び。当時同僚だったイチローもベンチで“ニヤついて”いた表情も映し出されている。