サントリーもこの7月、加齢臭対策の固形せっけん「プラス-デオ」を発売した。

 同社では「抗ノネナールPC(ポリフェノールコンプレックス)」がノネナールを除去すると言っている。東京都港区にあるサントリーウエルネスのオフィスで、開発グループの龍口巌さんが解説する。

「ポリフェノールは植物の葉や皮に含まれていて、紫外線などの外的要因から身を守るための成分です。サントリーはウーロン茶、甜茶、緑茶、柿渋の四つのエキスに含まれるポリフェノールの組み合わせを『ポリフェノールコンプレックス』と呼び、それによりノネナールを60分で85%減少させることを確認しています」

●柿渋に脱臭効果、女性ターゲット

 ポリフェノールの効果はふたつある。ひとつは、皮脂が酸化してノネナールをつくる仕組みを阻害すること。もうひとつはできてしまったノネナールを包み込むようにして抑え込むこと。

 使ってみると、せっけんの泡立ちの良さに驚かされる。上品な香水のような、クラシックな香りが特徴だ。

 娘に香りを嗅がせると、「実家のおばあちゃんが使ってる香りに似てるね。どんだけ高級かって思うよ」

 この香りは揮発性が強く、すぐ飛んでしまう。洗い上がりはせっけんらしいサッパリ感の強いものだった。

 最後に取材をしたのは、せっけん業界の老舗、ペリカン石鹸だ。ペリカンの商品は「柿渋」成分で加齢臭を防いでいるという。

「防腐など柿渋の効果はいろいろあります。最も優れているのが脱臭効果です。原料メーカーによれば、柿渋成分入りのせっけんはノネナールを96・6%除去します。これに対して柿渋なしのせっけんはノネナールを33・1%しか除去できません」(品質保証部・高柳勇生部長)

 数あるポリフェノールの中でも、柿渋がもっとも手っとり早く加齢臭を防いでくれるというのだ。実はこの「アロマティックソープ柿渋」、女性の加齢臭がターゲットだという。何か成分が違うのだろうか。

「男性と女性での、加齢臭を防ぐ成分に違いはありません。ただ、女性向けに東洋伝承のジャムウと呼ばれる天然植物エキスと、オレンジとジンジャーを合わせた香りを加えました。なにより加齢臭を意識しないで購入できるようなデザインにしました」(商品開発を担当した小関薫子さん)

 柿渋自体に香りはないそうで、ボディソープを使ってみると、生姜の刺激的な香りだ。娘に嗅がせると「今まで嗅いだことのない香りだ」と、当惑気味。かといって、男性に合わない香りというわけではない。

     *

 どのせっけんも、洗い上がりでの加齢臭はまったく消滅していた。しかし、真夏に朝から飛び歩いて、夜に帰宅したときは「うわ、アブラ臭いよ」と、その効果も途切れてしまっていた。というわけで、朝と夜の2回、体を洗うのが加齢臭には効果的だ。

 取材で判明したのは、加齢臭が目立つのは夏よりも秋・冬にかけてということ。

 「夏場はシャワーを浴びる機会が多く、実は加齢臭はそれほど問題になりません。秋・冬になると、汗の量は減りますが、皮脂の量は変わりません。風呂に入る機会が減少すると、その分、加齢臭が目立つのです。さらにコートなどの衣服に臭いがしみつくと、強力な加齢臭発生元になります」(資生堂・土師さん)

 克服のポイントは以下の6点だ。整理してみよう。

 (1)季節にかかわらず、毎朝、加齢臭対策せっけんで洗う。

 (2)きちんと湯につかり、毛穴を開かせてから洗う。

 (3)よく泡を立て、皮脂の出る場所を重点的に洗う。

 (4)脂っこいものを食べないようにして皮脂量を減らす。

 (5)ポロシャツや下着など、臭いやすいものを漬け置き、二度洗いなどで徹底洗濯。

 (6)紫外線や喫煙、ストレスなど、皮脂の酸化を促進するものを排除する。

 記者はまた妻の布団に入れてもらうことを目標に、体を洗うようにしよう。

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