今もまだ残る古き良き店を訪ねる連載「昭和な名店」。今回は江の島の「江ノ島 魚見亭」。
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湘南のリゾート気分が満喫できる江の島。島内3カ所に宮がある江島神社は日本三大弁財天のひとつで、開運や芸能上達の守護神として親しまれてきた。「魚見亭」は奥津宮近くで明治の頃(1909年)から魚料理を提供する。
「もともとうちは漁師で、海で釣った魚を店で提供したのがはじまりです。参拝客の手荷物預かりもしていました」
と話す6代目社長の宇田川聡子さん。
170席ある広々とした店内は、窓の向こうに湘南の海が広がり開放感たっぷり。テーブル席以外にゆったりとくつろげる座敷スペースもある。潮風を受けながら、絶景ビューを目の前に食事をするなら屋外のテラス席へ。運が良ければ右手に富士山、左手に伊豆大島の眺めが楽しめる。
料理は地元でとれた海鮮を中心に、鮮度を生かして刺し身にしたり、店先で焼いて提供したりする。香ばしく焼かれたイカやサザエは磯の香りもごちそう。ブルーボトルの江の島ビールがよく進む。腰越や片瀬の漁港で水揚げされた、しらす丼もおすすめだ。
店の前の階段を下りれば船着き場がある稚児ケ淵に出られる。江の島弁天橋まで遊覧船に乗って帰るのもまた一興。
(取材・文/沖村かなみ)
「江ノ島 魚見亭」神奈川県藤沢市江の島2-5-7/営業時間:10:00~日没後30分(季節によって変動あり)/定休日:なし
※週刊朝日 2020年9月4日号