相撲時代に主従関係のある飲み方をずっと見てきたから、REVOLUTIONのときはプロレス記者たちも誘って無礼講だ。プロレス記者といっても、みんながプロレス好きとは限らない。会社の命令で取材して記事を書かなきゃいけない人もいるわけで、それは大変なことだよ。だから「全日本プロレスのことを記事にしてくれてありがとう」という気持ちを込めてごちそうしていた。
それでお金が足りなくなると(ジャイアント)馬場さんのところに付け人を遣いに行かせて、お金をもらってこさせるんだ。それに対して俺は「昨晩はありがとうございました」なんてお礼は一度も言ったことがないし、馬場さんから礼を要求されたこともない。馬場さんも俺たちが記者をねぎらっているのを知ってくれていたし、馬場さんが出した以上に俺も身銭を切っているからね。と、この話をすると女房に「あんたが嶋田家のお金をあんなに使ってどれだけ苦労したか!」と必ず言われるから、「女房が支えてくれたおかげもあって」と添えて書いておいてよ。必ずだぞ(笑)。
レスラーの飲み方で印象に残っているのは、日本プロレス出身の大熊元司さんだね。こぢんまりした屋台でチビチビ長く飲むのが好きで、ある時、屋台のオヤジが大熊さんに「もう店じまいするから帰ってくれ」と言ったら、大熊さんが屋台のリヤカーを自分が泊っているホテルの前まで引っ張って、そこでずーっと飲んでいたんだって。屋台のオヤジもたまったもんじゃないけど、昔の人は豪快でいいよ。
ロッキー羽田も尻が長くて付き合いのいい人でね。人が飲み食いしているのを見て楽しんでいて、一緒に飲んでいても「天龍、三沢、ほら食え」って人に食わせて自分は酒ばかり飲んで、結局肝臓を壊して早くに亡くなっちゃった。大熊さんもあんまり食べない人で早くに亡くなっちゃったし、やっぱり酒ばっかり飲むのはからだに良くない。食べながら飲んでいたマイティ井上さん、グレート小鹿さん、ザ・グレート・カブキさんは今でも元気だもんね。