一度も実行されない自殺願望をたびたび抱き、そのつど誰かに止められて中断する経緯が詳しく語られた。中央線の電車に飛び込むなど、自殺方法はいつも具体的。止める人がいたから自殺は中断されたが、止める人がいなかったから事件を「起こさざるを得なかった」と言いたいのだろう。

 一方で、自身が抱く身勝手な欲望については、頑なに否定しようとする。

 たとえば、掲示板で知り合った女性が加藤被告を自宅に泊めたところ、寝ている間に胸をツンツンつつかれ、朝方に目覚めたら馬乗りになられていたと証言したことは、本誌7月16日号でも紹介した。

 加藤被告は法廷で、

「私が甘えるような形で、彼女のおなかのあたりに抱きつくことがありました」

 と説明し、揚げ句、

「彼女は自分が強姦されそうだったと。でも私は強姦するつもりはなく、事実でないことで責められた」

 と“冤罪”を訴えた。

 検事からセックスやエッチ行為の意図を問われても、

「そうではないです」

 と否定し、性欲もなかったと証言した。加藤被告の記憶は「抱きついただけ」で、自分のカバンに隠し持っていたコンドームのことも「覚えていない」と言う。

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