8月3日、東京地裁104号法廷。4日目となる被告人質問で、加藤智大被告は検察官の質問の言葉尻をとらえてこう訂正した。
「(事件を)『起こした』というよりも、『起こさざるを得なかった』ということです」
事件を想起した経緯が詳しく思い出せないという証言について質問されると、
「いや、大きな事件を起こそうとも考えてないです」
とも言い切った。加藤被告の本音がじわっと垣間見られたように感じられた。
先週号でも紹介したように、事件を起こした動機と理由について、加藤被告は自身の「ストーリー」を丁寧に作り上げている。
曰く、インターネットの掲示板に立てた自身のスレッドに、荒らしや自分になりすますといった迷惑行為をする人たちが現れた。自分が本気で嫌がっていることを彼らに伝えるため、事件を起こした。これが「動機」だ。
事件の「原因」には三つ挙げられた。
(1)大切な掲示板を迷惑行為によって奪われたこと
(2)掲示板に依存しすぎた生活
(3)伝えたいことを言葉ではなく行動で示そうとする自分の「考え方」。
3番目の「考え方」に影響したのが、母親による子育てだと「自己分析」した。