白い湯に深い色合いの湯舎が映える (c)朝日新聞社 @@写禁
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 混浴なんて恥ずかしい……。でも、かつての日本では、男女共同の浴場が当たり前だった。21世紀の今も混浴は「文化」として息づいている。しかも、混浴に入ると“恋愛”にも似たドキドキ感が生まれ、これが「寝たきり」や「認知症」の予防につながるという。

 そこで、温泉ソムリエの野添ちかこさんに初心者でも親しみやすい混浴温泉を聞いた。

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 秋田県にある乳頭温泉の鶴の湯温泉には、泉質の異なる4つの源泉が湧いています。なかでも混浴の大露天風呂は、玉砂利敷きの足元から湧く自然湧出泉で、鮮度抜群。泉質は含硫黄‐ナトリウム・カルシウム‐塩化物・炭酸水素塩泉で、「美人の湯」「冷えの湯」ともいわれ、高血圧症・動脈硬化症にも良いと評判です。男女別の脱衣所と内湯があるのが嬉しいですね。着替えとかけ湯のタイミングはどうしても裸が見えてしまいますが、ここならそういった心配は無用。混浴の湯船に入る手前から段々になっていて、しゃがんだ状態で入れる配慮がされているので、混浴が初めての人でも大丈夫。乳白色のにごり湯に胸まで浸かってしまえば何も見えません。

 群馬県の万座温泉は、白根山の懐、標高1800メートルに位置していて、一年を通して自家用車で行ける温泉のなかでは、日本最高所にある温泉のひとつ。昼間は高原の絶景、夜は満天の星空を眺めることができる「雲上の湯」なのです。

 万座プリンスホテルは、混浴のエリアは湯浴み着、タオル巻きで入浴できるので気軽です。でも、温泉の恵みを100%満喫したいなら、裸で入ることをお勧めします。こちらのお湯は、硫黄成分の含有量が日本有数で、呼吸器病や胃腸病、リウマチや皮膚病に良いといわれ、美肌効果もあります。こちらも鶴の湯同様にごり湯なので、かけ湯のときだけタオルで体を隠しておけば、あとは温泉の濃い成分が体を包み込んでくれます。

週刊朝日 2013年2月1日号