■ヤクルト:70点

 1位指名を二度外したが、それでも木沢尚文(慶応大)、山野太一(東北福祉大)という実力のある大学生投手二人を上位で指名できたのは大きな救いだ。木沢はチームに不足しているパワーピッチャーで、貯金を作れるようになるかは未知数だが、早い段階からある程度勝ち星も期待できるだけの完成度もある。山野も不足している左の先発候補として補強ポイントにマッチしているだろう。ただ木沢、山野ともに故障でほとんど投げられなかったシーズンがあるのは不安要素。伝統的に故障者の多いヤクルトという球団だけに、起用法には注意が必要だろう。

 野手も補強ポイントは少なくないが、そんな中で元山飛優(東北福祉大)、並木秀尊(独協大)の二人も面白い指名だった。元山はショートのレギュラー争いに加わる可能性があり、並木の足も大きな戦力となる。抽選を二度外した割には、全体的にはまずまずの指名ができたと言えるドラフトだった。

■DeNA:65点

 目玉選手に向かわずに独自路線を貫くことが多いが、今年も1位で入江大生(明治大)を単独指名した。入江は楽天なども1位指名候補として名前を挙げていると報道されていたが、早川、伊藤大海(苫小牧駒沢大→日本ハム1位)と比べると明らかに格が落ち、木沢と比べても少し劣るというのが現状である。抽選を避けるあまり1位で指名する選手のスケールを求めないという方針は今年も疑問が残った。

 それでも全体的に悪くない指名に落ち着いたのは2位の牧秀悟(中央大)と4位の小深田大地(履正社)という強打者タイプが二人獲得できたことが非常に大きい。現在の打線は外国人選手への依存度が非常に高く、数年後のオーダーも不安が多かっただけにこの二人が中心となれば一気に将来が明るくなる。3位以下の投手ではサウスポーに偏りがあるのは気になったが、松本隆之介(横浜)、高田琢登(静岡商)という将来性豊かな高校生を二人獲得できたのもプラスと言えるだろう。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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