1位で栗林良吏(トヨタ自動車)の単独指名に成功。昨年の森下暢仁に続いて即戦力としてはナンバーワンの投手を抽選なしで獲得できたことは非常にラッキーだったと言える。栗林の完成度は申し分なく、1年目からローテーションで森下と両輪になることも期待できるだろう。2位から4位までも投手を指名。森浦大輔(天理大)、大道温貴(八戸学院大)はともに大学球界では名の知れた存在で、下級生の頃から着実に実績を残してきた安心感がある。
また4位の小林樹斗(智弁和歌山)も素材の良さは高校球界屈指で、この順位まで残っていたことは幸運だった。ただ一方で気になったのは野手の指名の少なさ。現在のメンバーは悪くなく、楽しみな若手も少なくないが、あらゆるところで綻びは出ており、近い将来には鈴木誠也のメジャー移籍も考えられるだけに、もう少し野手にも目を向けるべきだったのではないだろうか。
■巨人:70点
佐藤輝明(近畿大)に入札して外したのは残念だったが、チーム事情を考えると投手陣の整備の方が優先順位は高かっただけに、そこから投手指名に切り替えたことは評価できる。そして1位と2位の指名はかなり冒険心に溢れるものだったという印象だ。平内龍太(亜細亜大)は現時点でリーグ戦通算わずか4勝と実績は乏しく、今年の春に肘の手術を受けて回復途上という投手。ただそれでもこの秋に最速156キロをマークしており、とにかくスケールの大きさは魅力だ。
2位の山崎伊織(東海大)も6月にトミー・ジョン手術を受けており、来年はリハビリのシーズンとなる。故障さえなければ大学ナンバーワン投手となっていた可能性もあるが、完全に回復する保証はない。ハイリスクハイリターンを狙った指名で賛否分かれるところだが、本気で菅野智之の後釜候補を狙いに行ったという点は評価できるだろう。3位以下でも中山礼都(中京大中京)と秋広優人(二松学舎大付)と将来性の高い高校生野手を指名できた点も大きなプラスだった。