撮影/写真部・馬場岳人
撮影/写真部・馬場岳人
この記事の写真をすべて見る

 ザワークラウトはドイツ語で「酸っぱいキャベツ」の意。発酵させたキャベツは保存によし、時短料理によし、腸活によしのすぐれものだ。AERA2020年11月16日号の記事を紹介する。

【写真】腸活に効く!手作りザワークラウトとアレンジレシピはこちら

*  *  *

 納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌……。長引くコロナ禍で健康に対する意識が高まり、発酵食品が注目を浴びている。そんななか、静かなブームとなっているのがザワークラウトだ。「キューネ ザワークラウト」の輸入販売を行うウイングエースによると、6月から需要が高まり始め、売り上げは前年比の約1.5倍で推移しているという。

 ザワークラウトはドイツの伝統料理の一つで、キャベツを自然発酵させたもの。料理名にピンと来なくても、「ビアホールでソーセージを頼むと添えられて出てくる、酸っぱい漬物みたいな野菜」と聞けばわかるだろう。15世紀の大航海時代にビタミンCの欠乏が原因となる壊血病の予防食として重宝され、次第にヨーロッパを中心に定着した。

「日本では“乳酸キャベツ”と呼ばれています。キャベツの酢漬けだと思っている人もいますが酢は使っておらず、葉の表面についた乳酸菌が発酵して酸味を出しているんです」

 こう話すのは、料理教室「レザンジュブラン」を主宰し、日本発酵文化協会の認定講師でもある栄養士の和田和歌子さんだ。和田さんは、ザワークラウトの栄養価に注目する。

 まず、ビタミンCが豊富。さらに粘膜を保護する作用があり別名「キャベジン」とも呼ばれるビタミンUを含む。食物繊維が豊富で乳酸菌を含むので、「腸活」にももってこいだ。

「全身の免疫細胞の70%は腸に集中しており、免疫系の働きを維持するためには腸内環境を整えることが欠かせないといわれています。ザワークラウトに含まれる植物性の乳酸菌は胃酸や胆汁酸に強く、ヨーグルトのような動物性乳酸菌よりも生きたまま腸に届きやすい。腸内環境を整える効果が非常に高いんです」(和田さん)

 和田さん自身も発酵食によって体質を改善した一人だ。料理教室の講師として「よりおいしいもの」を追求し、がむしゃらに仕事に打ち込んでいた30歳前後の頃、体調を崩して全身に発疹が出てしまった。それがきっかけで「おいしさだけでなく、体にいい食を目指そう」と意識が変わり、塩麹などの麹を使った食事を取り続けているうちに体質改善されてきたという。

次のページ