


会社、スーパー、飲食店、スポーツジム……。新型コロナ感染拡大対策として、体温を測定する機会がかつてないほど増えた。だが、体温を知る意義は感染対策だけではない。体温リズムを知り、それを活用することで、一日が大きく変わるのだ。AERA 2020年11月23日号は「体温マネジメント」を特集した。
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朝7時に起床。少しぼんやりしたらYouTubeの動画を見ながらラジオ体操。それから歯磨き、体重測定、朝ご飯。神奈川県に住む会社員の女性(45)のモーニングルーティンだ。そして今年6月、「ラジオ体操」のあとに「体温測定」が加わった。コロナ禍の今、自分の健康状態をきちんと把握しておきたいと思ったからだ。
朝だけでなく、昼や夕方に測ることもある。測った数値はスマホのアプリに記録すると、折れ線グラフで体温の推移を教えてくれる。最近、自分の平熱が低いことが気になり始めた。
「一日のなかでも時間帯によって違っていて、朝から昼過ぎぐらいまでは35.5度くらい。夕方は少し上がって35.7度から35.9度。36度を超えることはめったにありません。寒い時期に活動的になれないのは、体温が低いせいなのかと」
一方で、大阪府に住む会社員の女性(45)は、「平熱が高いのが悩み」だという。朝は36.7度くらい。夕方から夜にかけて37度を超え、37.5度に届くこともある。体調はすこぶるよく、風邪をひいているわけではない。
「会社や近所のスーパーには非接触型の体温計があって、37.5度以上だと警告音が鳴って呼び止められてしまうんです。会社の場合、いまや警備の人にも覚えられてしまい、『また鳴ってるね』と言って通してくれるんですが……」
コロナ禍で自宅や外出先で体温を測る機会が増えた。アエラが11月上旬にウェブで実施したアンケートでは、「以前は気になる時しか体温を測らなかったが、今は毎日測定している」(59歳・女性・大学職員)など、体温を気にする人が多くいた。一方で、「体温の変動が大きく、自分の『平熱』がよくわからない」(49歳・男性・会社員)という声もあった。