買収を予測する見方もある。関西では京都先端科学大が30年を目標に医学部を設置することを掲げている。同大を運営する学校法人「永守学園」の理事長は、日本電産の永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)で、経済誌フォーブスによると永守会長の資産は3千億円以上。同学園は今年4月、中学・高校を持つ学校法人「京都光楠(こうなん)学園」と合併する予定で、積極的に動いている。将来的には東京女子医科大などを買収する動きを見せるのでは、との予想もある。
教育ジャーナリストで大学業界に詳しい神戸悟さんは、こんな指摘をする。
「とがった大学同士の合併もあり得る」
例えば、国際教育に強い神田外語大と、経営分野に定評のある産業能率大、広く工学系の学部を持つ東京工科大の組み合わせだ。いずれも卒業生の評判は良く、互いに強みを生かせるという。
オンライン授業を実施する学校の合併も相性がいいと神戸さんは見る。
ネットで高校の授業を受けることができるN高と、通学せずに学士号が取れるサイバー大、経営学修士(MBA)が取れる大学院を持つビジネス・ブレークスルー大との組み合わせだ。海外にも米国のミネルバ大など全ての授業をオンラインで実施するところもあり、海外大との合併も考えられる。
理工系同士の合併も可能性はありそうだ。例えば、東京都市大、芝浦工業大、東京電機大、工学院大の「大理工大」だ。受験生は学部・学科を決めて志願するが、入学後に関心が変わるという学生も多い。研究室を選ぶ際に大学を超えて選べるようにすれば、学生にとって大きなメリットが出ると神戸さんは見る。
「大理工大構想。ここに千葉工業大が入ってもいい。東京理科大にも匹敵する魅力を持つと思う。駒澤大、専修大など文系中心の大学と組めば、さらに研究力、教育力を強化できる」
こうしたシミュレーションの一方で、すでに統合に向けて話が進んでいる大学もある。積極的なのは国公立大で、昨年4月には名古屋大と岐阜大が経営統合し、東海国立大学機構を設立した。北海道では国立の小樽商科大、帯広畜産大、北見工業大が22年4月の統合に向けて動いている。大阪では大阪府立大と大阪市立大が22年4月に統合し、大阪公立大になる予定だ。