うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や5歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
この連載が本になりました。タイトルは『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』です。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る「私の育児論」を、ぜひご覧ください。
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東大生がよく聞かれる質問の一つに 、「やっぱり昔から、たくさん本を読んでいたの?」というものがあるようです。
実際、私も何回か聞かれたことがあります。そこで東大の知人たちに、「どう? 読んでいた?」と、問いをぶつけてみたのですが……返ってきた答えは、「NO」が圧倒的多数を占めていました。
■活字の小説を初めて買ったのは、高校2年生のころ
私自身はどうだったかを思い出してみると、いわゆる活字の小説を自分で初めて買ったのは、高校2年生あたりです。それから受験期までに読んだ小説は、たしか3冊程度でした。幼少期だって、親から絵本を読んでもらった記憶はありますが、決して多くはないです。
ただ、子ども4人を東大理IIIに入れた佐藤ママは、3歳までに1万冊の本を読み聞かせたのだそうです。結局のところ、絵本や活字の本を読んだ量が東大合格の決め手になるものなのか?を考えると、「受験問題を解く能力には直結しない」というのが私の意見です。
そもそもですが、絵本を1万冊読むためには、1冊1千円と計算すると、合計で1千万円も必要になってしまいます。ほとんどの本を図書館で借りたと仮定しても、子どもが生まれてから3歳に達するまで1千日ですから、出産当日から数えても1日平均10冊も読まねばならないことになります。そこまでハードな作業をすると思うと、ついついコストに対する効果を考えちゃうわけです。
絵本をたくさん読んでもらえば、確かに脳の言語野は発達するでしょう。しかしそれは、たとえて言うなら、「サッカー選手を目指す子どもが、学校の体育でマラソンをやっている」状態に似ています。
マラソンで長距離を走れば、基本的な体力がつき、毎日が疲れにくくはなるでしょう。でも、もしサッカーを上達させたいと思っているなら、足でボールを蹴ったり シュートやパスの練習をしたりしたほうが、短時間で的確に技術がつき、効果的なのです。
もちろん基礎体力はあるに越したことはないですが、やみくもに何時間も長距離を走ったところで、決してサッカー選手にはなれません。サッカーにしても受験にしても、目標地点が決まっているなら、それに適した練習をしてテクニックをピンポイントで鍛えることがもっとも能率的なのだと思います。