日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日本のPCR検査の遅れ」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
【見逃すと大損!コロナ関連の医療費どこまで控除は受けられる?】
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世界50カ国以上で接種が始まっている新型コロナウイルスワクチン。日本はというと、まだ接種すら始まっていません。22日、政府は「年内」に約7200万人分の供給を受けることで正式契約したことを発表。当初は6月末まで6000万人分(1億2,000万回分)が届く予定でした。しかしながら「年内」の供給となると、新型コロナウイルスワクチンの接種開始の時期は見通しが立たなくなったと言っても過言ではないかもしれません。
38度を超える発熱を訴える患者さんが日増しに増え、新型コロナウイルスPCR検査でも陽性を認めることが多かった年末年始。「このまま新型コロナウイル陽性の方が増えるのだろうか」と不安だったのですが、1月中旬あたりからでしょうか。38度を超える発熱を認める人は少なくなってきました。発熱はなく咽頭痛のみ自覚された方にPCR検査を施行したところ陽性が出たという経験から、たとえ発熱していなくても風邪症状を主訴に受診した方には積極的にPCR検査を勧めているのですが、年末年始ほど陽性を認めることはなくなってきました。
このように外来診療をする中で、受診される患者さんの症状の傾向、PCR検査数自体の増減やクリニック内での陽性率などから、「コロナの患者さんが増えてきたな」「あれ、減ってきているのかな」と日々感じているのですが、実際に、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者の報告を見てみると1月7日(陽性者数 2447人)をピークに、国内の発生報告数も1月8日(陽性者数 7,844人)をピークに減少しているようにも見てとれます。