「母は、死ぬ死ぬ詐欺じゃないかと思うほど生きてくれました(笑)」(ちさ子さん)

 高嶋夫妻はゆるやかに「夫婦じまい」を進めていったという。

 その妻が亡くなって昨年の夏で丸3年経った。弘之さんは毎日、可愛いカップにコーヒーを2人分いれ、妻の写真の前に置く。ただ家に帰ると一日の出来事を笑って聞いてくれていた妻からの切り返しがない。そこで「そうか君はいないんだ」と気づく。これが一番つらいという。

「家内が先に逝くなんて、予期せぬ出来事でしたから。別れた当初は体が半分持っていかれたようなつらさでした。後から聞いて知りましたが、私を心配したちさ子が私を積極的にテレビに出そうとしていたようです(実際に出演)。私がボケることを心配していたみたいですが、私はダウン症の長女と一緒に暮らしています。妻から長女のことをくれぐれも頼むと言われているので、ボケる暇もありません。10年は走り続けられそうです」

(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2021年2月19日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
新型スマホ「Google Pixel 9」はiPhoneからの乗り換えもあり?実機を使って検証