黒川博行・作家 (c)朝日新聞社
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※写真はイメージです (GettyImages)
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 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。今回は、森喜朗氏の失言について。

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 実績なし、舌禍と失言だけでわたしの記憶に残る、自民党長老による密室談合で首相になれた超強運の森喜朗翁──。

「大阪はたん壺。金儲けだけを考えて公共心のない街」88年─。「みんな淋病にかかった」00年─。

「イット革命(ITをイット)」00年─。「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」00年─。「無党派層は(選挙に)関心がないといって、寝てしまってくれればいい」00年─。

「わたしが(官邸に)行かないことで、なにが遅れたのか」01年─。

 日本の高校生の実習船『えひめ丸』がハワイ沖でアメリカの原子力潜水艦に衝突されて沈没、九名が犠牲になった。この報を森首相(当時)は戸塚カントリー倶楽部で知らされたが、その後、二時間もプレーを続行した。ちなみに戸塚カントリーのゴルフ会員権は知人から贈与されたものだが、森さんは税務申告せず、贈与税、所得税を払っていない。

「子供をひとりもつくらない女性が好き勝手に、まさに自由を謳歌して楽しんで、年とって税金で面倒見なさいというのは、ほんとうはおかしい」03年─。「女のひとだなあ。やっぱり(視野が)狭いなあと思った」07年─。「あの子(浅田真央選手)、大事なときには必ず転ぶんですね」14年ソチ五輪─。「国歌をうたわない選手は代表ではない」16年リオ五輪─。

「女性理事を選ぶというのは、要は陸連、文科省がうるさく言うんですよね」「女性がたくさん入っている理事会の会議は、時間がかかる。女性は競争意識が強い。誰かひとりが手をあげて言うと、自分も言わないといけないと思うんでしょうね」「女性を必ずしも数で増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしておかないとなかなか終わらないので困ると(誰かが)言っておられました」「(組織委員会の女性理事は)みんな、わきまえておられる」21年─。

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