残る選択肢は地元の公立。ただ、そこにも心配があった。いままでの公立小学校で一緒だった子たちとまた同じ顔ぶれ。それでは「環境として何も変わらない」ということだ。

 大維志くんは通っていたインターナショナルスクールから、中学受験を見据えて小4で公立小学校に転校した。個性の強い大維志くん。多少、なじめないところもあったという。家族は、別の校区にある公立中学への入学を決める。

「定期テストがないなど、生徒自身の責任に任せてのびのびと育てる自由な校風が最大の理由でした。それでいて、学力の高い生徒さんが多い。『これは大維志に向いてるね!』となり、入学することにしたんです」

 この春、大維志くんは3年生になる。「医師になる」という夢に向けて、学校から帰宅後の2、3時間は塾に通う。休みは週に1日だけだ。

「まずは高校受験。本人は公立高を志望しています。『東大に行くんだ』なんて言ってますが、言うのは簡単(笑)。でも目標は高く持つくらいがちょうどいいですからね」

(構成/編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年3月8日号

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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