■デバイスの進化で適応が拡大している
血管内治療は、なかでも最も安全性が高いといわれているコイル塞栓術が選択されることが多い。では、コイル塞栓術ではない場合が選択されるのはどんな場合なのか。
「瘤の入り口が大きいと詰めたコイルが血管側に出てくる可能性があります。その場合は、ステントという筒状の金属性の網を動脈瘤の入り口に置きます。このようにステントでコイルが出てくるのを防ぐ方法をステント併用コイル塞栓術といいます」(加治医師)
2015年に保険適用になったフローダイバーターは特殊な動脈瘤のみに適応される方法で、実施施設が限られている。
ステントやフローダイバーターを用いる場合には、血液をさらさらにする抗血小板剤を1年間程度内服する必要があるため、他疾患の手術予定がある場合や、妊娠を考えている女性は注意が必要だ。
「ここ数年のデバイスの進化は目覚ましく、治療の確実性は開頭術に劣らないことが明らかになり、安全性も高まっています。より適した治療方法を選択できるようになってきていると言えるでしょう」(同)
ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/
【医師との会話に役立つキーワード】
《デバイス》
治療の際に使用する道具のこと。血管内治療ではコイル、バルーン、ステント、フローダイバーターなどがある。デバイスの進化は目覚ましく、治療方法も進化している。
《コイルコンパクション》
動脈瘤に入れたコイルが血圧により圧縮してしまうこと。この場合、瘤が塞がれなくなってしまうので再治療が必要な場合もある。
【取材した医師】
済生会熊本病院 脳卒中センター医長 加治正知医師
獨協医科大学病院 脳神経外科 教授 河本俊介医師
(文/編集部・濱田ももこ)
※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より