出稼ぎに行くきっかけはさまざまだが、知り合いで出稼ぎ経験のある人がいたり、現地の知人から誘いを受けたりするなど、何らかのつながりがあって海外に行くケースが多いようだ。

「昨今は風俗業界でもオンライン面接が多くなり、海外の店で働く場合にも、リモートで手軽に面接が受けられます。SNSのダイレクトメッセージなどで誘われる例も見られます。風俗の場合、現地の言葉がそこまで話せなくても、仕事を得ることができます」(要さん)

 現地にいる知人からの誘いがきっかけで、英語はほとんど話せないがアメリカに飛んだのが、サンディエゴ在住のアイコさん(仮名・35歳)。アメリカではネバダ州を除く全土で、売春行為が違法とされている。ゆえに風俗営業を行う店は違法営業であり、表向きには別の業態を名乗るなどしている。アイコさんが5年間勤務した店は、表向きには“マッサージ店”をうたう、中国人女性がオーナーの風俗店だった。

 地方出身のアイコさんは、高校卒業とともに上京。「特にやりたいことが見つからなかった」というフリーター時代を経て、25歳でキャバクラやスナックでの水商売をスタートした。働いて稼いだら、しばらく遊んで暮らし、お金が底をつきそうになったらまた働く。漠然と「いつかアメリカの大学に行きたい」という夢を持っていたが、どう動いたら実現できるのかわからなかった。

 その後、友人の紹介で出会ったアメリカ国籍の男性と結婚し、アメリカの永住権を手にする。男性とは価値観の相違から、数年で離婚することになったが、「せっかく永住権もあるし、アメリカのほうが稼げそうだし、行ってみようかな」と離婚後に渡米を決めた。勤務していたスナックの同僚がアメリカで風俗の仕事をした経験があり、「すごく稼げるよ」と話していたことも後押しになった。

 働く先のあてがないままの渡米だったが、現地の知人の紹介もあり、すぐに職を得ることができた。現地の風俗で働く日本人女性が数少ないことから、オーナーからも歓迎されたという。アイコさんが勤めた店にいる女性は、中国人、韓国人、ベトナム人が多かった。表向きにはマッサージ店を名乗る店であるため、勤務するには学校に通って免許を取る必要があり、最初の2年は自費で通学しながら、主に週末に店で働いた。

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