※写真はイメージです (GettyImages)
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 長引く不況で、「日本で働くより、海外のほうが稼げる」と海を渡る性風俗業の女性たちがいる。さまざまなリスクを背負いながら、それでも彼女たちを突き動かすものはいったい何なのか。当事者の声をもとにひもとく。

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「本気で行こうと思っている人は、とっくに海外に行って仕事を始めていると思います」

 海外で性風俗の仕事を始めて、6年になるというマリエさん(仮名・41歳)。特定の店に所属するのではなく、個人で顧客と直接やり取りして仕事を受けている。キャリアのスタートは、25歳で風俗関連企業で事務職として勤めたとき。その後、都内の風俗店で“接客”を始め、性風俗の世界を知った。

 一口に性風俗と言えど、その内容は多岐にわたる。マリエさんが選んだのは、いわゆる性交を伴わないスタイルで、「服を脱がなくても良い風俗があるんだ」ということも、接客の世界に足を踏み入れる後押しになった。最初の勤務で得た報酬は、数時間で2万5千円。ストレスもほとんど感じることなく、自然と「他の仕事より稼げそうだし、やってみようかな」という気持ちになったという。

 その後、10年近くその店で勤めた後、接客経験を元に、30代半ばで独立した。個人がSNSで発信するのが当たり前の時代で、オンラインを通じて仕事を獲得する動きもすでに浸透していた。長引く不況の中で、「日本人を相手に仕事をするより、海外の顧客(特に富裕層)を相手にしたほうが、格段に稼げる」というのは、性風俗業に身を置くマリエさんが肌身で感じてきたことだった。だから店に所属しているころから、主に海外の顧客の獲得を目的に、個人のホームページやSNSのアカウントを作り、積極的に発信した。

 主なターゲットは、日本に出張などで訪れる海外のリッチなビジネスマン。ホームページなどを通じ、マリエさんに興味を持った男性から、直接問い合わせが入る。日程や場所、金額や内容などの条件が合えば、男性の宿泊先を訪ねて仕事をするという流れだ。リピート客も多く、マリエさんは着実に顧客数を伸ばしていった。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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